短期的なセリングクライマックス
3月に端を発したサブプライム問題はサブプライムを含んだ証券の格付け下げをきっかけとして再度市場の注目を集め、投機的資金が一気にリスクのある市場から引き上げたことから、株式市場、貴金属などの商品市場、また為替市場においてもリスク資産からの逃避が進んでいる。
3月の時点では重大な問題と思われたサブプライムローン問題だが、122円台から115円台までのドル売りにつながったものの、ユーロドル等の欧州通貨では大きな動きにはつながらず、ドル円や株式は短期的に底を打ってからは高値を更新、ドル円は6/22には124.14円の高値を見せるまでの回復となっている。
この動きから市場は4-6月にはサブプライム問題の米経済に与える影響は限定的と取り、円キャリートレードなどリスクを取った取引を積み増して行ったことから、前回に比べてコストが悪いポジションが残り、下落を始めると投売りが投げ売りを呼ぶ展開となりつつある。
今週に入り円クロスで溜まっている円売りポジションを中心として投売りが続いており、じりじりと値を下げていたが、本日は朝方から豪ドル、NZドルなど高金利通貨を中心として下落が急激になっており、極々短期的には売り過熱感が出始めているように見える。
日経平均は執筆時点で570円安と3%を越える下落幅となっており、また豪ドル、NZドルなどは対ドルを中心として朝方から150ポイント近くの下げ、また対円でも2円近くの下げとなっており、東京時間に大きな動きが出た場合、確率は判らないが、経験上は北米時間に入り相場が回復することがよくある。これはあくまでも経験則であり根拠は無いものの、さすがに短期的には一旦は落ち着きを見せるのではないか。
来週は23日に日銀の政策決定理事会が予定されている。以前から8月の会合では0.25%の利上げが行われるものと見られていたが、ここに来てサブプライム問題を背景として銀行間の信用収縮に主要各国中銀が資金を積極的に出している中で、日銀が実際に引き締めを行えるかどうか、また利上げという引き締めを行った場合、不安定となっている株式市場の下押し、あるいは為替市場において円買い要因となり、日銀としては利上げを強行しにくい状態になりつつある。
もちろん、来週木曜までは明日を入れても4営業日あり、この間に市場が落ち着きを見せることによって利上げといった選択肢も残されているはずだが、常識的には9月利上げを先送りする可能性が高まっていると思われる。
ここで日銀が据え置きを決定することにより市場に落ち着きが戻り、株式市場、為替市場に安定感が戻るのではないかと思われる。しかし、残り4営業日では日銀利上げのシナリオに沿って円買いが相場を先導する可能性も残っており、過熱感が出始めている相場とは言え、変動率が非常に高まっていることから十分すぎるぐらい相場の値動きに注意したいところだ。
また上記でセリングクライマックスと言っているが、これはあくまでも短期的なもので、ニュージーランド中銀からの発言でも判る様に円クロスは若干下げたとは言え、長期的な視点で見ると未だに非常に高いレベルで推移していることから、長い意味での調整はこれからといえるのではないか。となれば今回の下げで慌てて投げるのではなく、じっくりと相場を見極めての円クロスの売り、あるいはショートメークも検討するべきと思われる。
ドル見直しの動きにつながるか
サブプライムローン問題に端を発した円の買い戻しによりドル円は123円台から117円台、高金利通貨として人気のあるNZD円は97円台から88円台までの急落を見せ、多くの通貨で円の買い戻しに拍車が掛かった相場展開が7月の相場であった。
8月に入り多くの円クロスで下げ渋りを見せているものの、上値も重い状態が続いており若干広めのレンジ取引が続いている。サブプライムローン問題は多くの金融機関やヘッジファンドを巻き込んでおり、投機的なポジションを閉じようとする動きが依然として上値を抑え、金利差を中心としたファンダメンタル面では変化が無いことから機関投資家や輸入などの円売りが下値を支えている状態が8月に入り続いている。
8月は債券の償還や利払いなどが多いことから円買いのバイアスが高く円高気味に推移するとの思惑が高かったが7月の下げ過程である程度の円買い予約が済んでいるのか、戻りは重いものの、今のところ下げは限定的となっている。
昨晩は米FOMCが行われ、金利を0.25%の据え置き決定を下したものの、市場の一部には年末にかけて米景気後退を見込んでのやや弱気な発言を期待する向きが多かった。しかしながら蓋を開けてみると「経済成長の下振れリスクは幾分高まった。」との文言があったものの、依然として「インフレが最大の懸念事項」との文言もあり、両睨みの玉虫色の声明となっている。
思惑が幾分か弱気転換となっていたことや、株式市場が一瞬下げたものの、その後、株価が上げに転じたことによりドルを買う動きが活発となりドル円は119円台回復となっている。今のところ119.60-70円には輸出やファンド勢のドル売りオーダーが並んでいると思われておりドル円の上値は限定的と思われるが、米株式市場の下げ止まりを受けてドルに対する買い安心感が広がり始めている。
またユーロドルやドルスイスなどの通貨では円キャリートレードの巻き戻しが市場のフォーカスであったものの、今回のドル円でのドル売り局面でのユーロ買いドル売り、ドル売りスイス買いは限定的な動きとなっており、7/24につけた1.3853ドルの高値を越えることが出来ないでいる。
ドルスイスでは7月の安値、2006年12月の安値である1.1880スイスフランを下抜き、一時1.18台前半まで下げたものの昨晩のFOMC後に急速に値を戻し1.19台後半での推移となっており、他通貨でのドル底堅さが目立っているように見える。
株式市場は不安定な状態が続いているものの、ダウ平均株価がテクニカルに日足一目均衡表の雲下抜けに失敗したことから一旦は楽観的な思惑が多くなっており、またユーロドルでは新値更新とならない可能性も高まっており、短期的にはドルを買い戻そうとする動きが強まるのではないか。